劉寶楠『論語正義』

論語正義第一 

       寶應劉寶楠學

學而第一

正義曰く、釋文及び皇邢疏本皆此の題有り。邢疏に云ふ、此れ自り堯曰に至るまで是れ魯の論語二十篇之名及び第次也。當に弟子論撰之時此の書の大名を為す。一は数之始め也。此れ次を篇ずるに一を當つるを言ふ也。案ずるに古人漆書竹簡を以て約するに一篇を當つ。即ち編列を為すに韋束を以てする之故に孔子易を読み韋編三絶す、と。孔子の時に當たり諸弟子言行を撰記するに各々自ら篇を成し一人之手に出でず。故に一の語有りて前後の篇再出する也。毛詩序疏説文を引きて、第は次也。竹に从う。□。今本説文第字を脱す。下に云ふ、古字之象に従ふ。疑ふらくは弟は韋束之次を指して言ひ、第は竹簡を指して言ふ。釋名釋書契に云ふ、題を称するに亦第有り。其の第次に因る也、と。後漢帝紀李賢注に、第は甲乙之次第を謂ふ也、と。