火薬

1886年のフランス人科学者ポール・ヴィエイユ (Paul Vieille) による無煙火薬の発明や、フリッツ・ハーバーカール・ボッシュによるハーバー・ボッシュ法の発見がアンモニアの大量生産を可能にしたため、火薬の主流は黒色火薬から無煙火薬へと急速に移り変わっていく。ヴィエイユの発明した火薬はニトロセルロースエーテルとアルコールの混合液でゼラチン化したものである。当時の陸軍大臣ブーランジェ将軍の頭文字からB火薬と命名された。19世紀までは南米からのチリ硝石輸入が爆薬の原料となる硝酸の供給源だったが、ハーバー・ボッシュ法の発見によって、チリ硝石輸入を海上封鎖することによる戦争の回避策が無効化された。アルフレッド・ノーベルは、無煙火薬バリスタイト(1887年)を発明したが、これがその後、コルダイトと特許紛争になった。1889年、フレデリック・エイベルとジェイムズ・デュワーによって発明された無煙火薬のコルダイトが登場し、コルダイト火薬が近代的な火薬の主流となった。