ローマ人が其の覇権を獲得する以前、未だマケドニア人アシアを掌握していた時、ラゴスの子、プトレマイオス二世が、エジプトのアレクサンドリアに建立したアレクサンドリア図書館に全ての人間の書物で、その書物が優れたものであるものを揃えようとした。そして、プトレマイオス二世は、聖書をギリシア語に訳したものを欲すとエルサレムの人々に請うた。エルサレムの人々は当時未だマケドニア人に服していたので、エルサレムの人々の中で聖書とギリシア語とヘブライ語両方の言葉とに最もよく通じている長老たち七十人を、願望を成就させるべく、プトレマイオス二世の為に、エジプトのアレクサンドリアに派遣した。プトレマイオス二世は、長老たちを試みてみたいと思い、又、長老たちが共謀して、聖書の中にある真理を翻訳によって隠蔽してしまわないかと気遣った為、長老たちをお互いに隔離した上で、皆に同じ様に命じ、そして、全ての聖書について之を行なった。しかし、七十人の長老たちがプトレマイオス二世の下で一堂に会し、各々が自分の翻訳を比べてみると、神に栄光が帰され、聖書は本当に神的なものである事が識られる様になった。其れは、皆が最初から最後に至るまで同じ事を同じ句、同じ語で公に述べたからであり、其の結果、居合わせた異邦人たちも、聖書が神の霊感によりて翻訳された事を識ったのであった。